―辞める/辞めないを決める前に整理すること―
キャリアに迷ったとき、多くの人が最初に考えるのはこの問いです。
「辞めるべきか、続けるべきか」
ですが、専門職のキャリアにおいて、この問いを最初に立ててしまうと、思考はほぼ確実に行き詰まります。
なぜなら、材料が揃っていない段階で結論を出そうとしているからです。
この記事では、辞める/辞めないを決める前に、必ず整理しておきたい3つの問いを提示します。
問い① 私は「何を守るために」現状を続けているのか?
まず考えるべきは、「なぜ今の環境に留まっているのか」です。
ここで重要なのは、否定せずに言語化すること。
例えば:
- 安定した収入
- 社会的信用
- 専門性の継続
- 周囲からの評価
- 家族や生活への影響
これらはすべて、合理的で正当な理由です。
問題は「無意識」になっている場合
現状維持バイアスは、守っているものを見えなくします。
「なんとなく続けている」「辞める理由がないから」
この状態では、選択しているとは言えません。
まずは、自分が何を守ろうとしているのかを、自分の言葉で説明できるか。それが最初の問いです。
問い② 今の違和感は「環境」か「関わり方」か?
次に整理すべきは、違和感の正体です。
多くの場合、人はこう考えがちです。
「職場が合わない」「上司や組織の問題だ」
もちろん、それが原因のこともあります。しかし専門職の場合、実際にはこうしたケースも非常に多い。
- 環境は変わっていないが、自分の立場や役割が変わった
- 期待される役割と、自分の納得感がズレてきた
つまり問題は、「どこで働くか」ではなく「どう関わっているか」にあることがあります。
ここを整理せずに転職すると、場所を変えても同じ違和感が再現されます。
問い③ 私は「辞めない理由」を説明できるか?
最後の問いは、とてもシンプルで、同時にとても重要です。
今、私はなぜ辞めないのか?
これは「辞めたい理由」の裏返しではありません。
- 辞めないことに納得しているか
- 他人にではなく、自分に説明できるか
という問いです。
ここで初めて、「辞める」という選択肢が正しく机の上に乗ります。
「辞める武器」の本当の意味
以前の記事で触れましたが、「辞めるという最強の武器は、サラリーマンだけのものでは無い」というのは、「いつでも辞められる状態を作れ」という意味ではありません。
- 辞めない理由を自覚している
- それを今の自分が選んでいる
この状態にあるかどうかが重要です。
3つの問いに、正解はない
ここで誤解してほしくないのは、この3つの問いに「正しい答え」はありません。
答えが途中で変わってもいい。曖昧でもいい。
重要なのは、考えたかどうかです。
これを飛ばして決断すると、次のような形になりやすい。
- 勢いで辞めて後悔する
- 辞めなかったことを、後から正当化し続ける
決断は「問いの後」に来る
キャリアの選択は、勇気の問題ではありません。情報と、整理の問題です。
- 何を守っているのか
- 何に違和感を感じているのか
- なぜ今は辞めないのか
この3つが言葉になったとき、初めて次の選択肢が見えてきます。

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